2012年8月24日金曜日

ニッポンハナダカバチ、灼熱の砂浜で営巣中

巨大津波で被災し、生きものが消えてしまったかに思われた仙台湾岸の砂浜で、ハマヒルガオやハマエンドウ、コウボウムギ、ハマボウフウ,ハマニガナといった砂丘植物が少しずつ再生しつつあります。
開花中のハマヒルガオ(2012年6月23日)


ニッポンハナダカバチも、こうした特異的な海浜性植物と同様、砂漠のような砂質で高温乾燥の環境に限って生息するしたたかな昆虫です。
ミドリバエを抱えて巣口に戻って来たニッポンハナダカバチ(母バチ;2012年8月22日)


私は20数年前から毎年、ニッポンハナダカバチの生息状況を、宮城県内の大半の砂浜(島々を含む)で調べてきました。今年も6月下旬から調査を続け、ようやく県内6地区で営巣活動を確認しました。そのうち、大きな集団が形成されている地区を含む4か所は、被災以前から集団が存続している場所です。
営巣地付近の様子.およそ30巣が確認された(2012年8月22日)


ニッポンハナダカバチは、災害に出くわしても容易に別の場所に移り住むこと(移動分散)ができない、頑迷な習性を持ったハチと考えられます。砂丘生態系を構成する生物や土壌の状況、つまり餌資源(海浜性植物の花蜜と獲物としてのハエ類)および巣資源(良質な砂地)、と強く結びついて生活しているのです。

灼熱の砂浜は、私にとってはあまりに苛酷ですが、ニッポンハナダカバチの懸命な営みと砂浜の生物間のつながりに対する興味はどんどんエスカレートするばかりです。

K.G.
このエントリーをはてなブックマークに追加