2012年8月22日水曜日

昆虫班からの報告 -水たまりの消長-



モニタリングサイトにはたくさんの池や水たまり、湿地があります。昨年の秋に水たまりの一つを調べたところ、ヤゴ(トンボの幼虫)やゲンゴロウの仲間、コミズムシの仲間など非常に多くの昆虫を観察することができました。これらはみな震災の後にやってきた種だと考えられ、中には希少種も含まれていました。

この水たまりと虫たちが冬を経てどうなっているのだろうかと、今年の4月に出かけてみました。そろそろ冬眠から覚めた生き物が活動を始めているはずです。

干上がった水たまり(2012年4月10日撮影)

え…? 水がない…!

じっくり探してようやく、石(下の写真の手前中央付近にあるもの)に沿った5cm×2cmくらいの水面を見つけました。しかしいくらなんでも水たまり全体の生き物がいられるほどの水の量ではないし、実際なにもいません。この時はここばかりでなく、いつも水をたたえていた広いヨシ原も乾いていました。

復活した水たまり(2012年5月31日撮影)

そして5月の終わり。水たまりを再訪すると、昨秋ほどではないけれどまた水が溜まっています。網を入れると、越冬後と思われる大きなサイズのトンボ科とイトトンボ科のヤゴが見つかりました。いったいどこにいたのでしょう。そして水中には去年見なかったカイエビの仲間がたくさん泳いでいました。

想像とは違っていましたが、こうした水たまりは毎年乾いたり溜まったりを繰り返しているのかもしれません。ある種は水のない冬の間も耐えることができ、また別の種は夏の間のすみかとして数を増やし、分散の足がかりにもして役立てているのでしょう。今年の秋はどんな生き物が見られるか楽しみです。

Y.I.


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