夏を迎えました。モニタリングサイトはみずみずしい緑におおわれて、目と心に染み入ります。ちょうどテリハノイバラが満開で、ノハナショウブやカワラナデシコも咲いていました。
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木漏れ日の差す林床にいろいろな広葉樹が葉を広げている(2014年7月2日撮影, 以下同じ) |
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咲き始めのカワラナデシコ |
津波の作用で拡大し、被災域の特徴の一つになっていた砂地の裸地ですが、モニタリングサイトでは植物の進入につれて縮小してきました。春から秋まで裸地に無数にいたコニワハンミョウも、今回は1頭見ただけです。草が進入してきた砂地には、アリバチ類やアリガタバチ類が歩いていました。これらのハチは他の昆虫に寄生して育ちます。
松林の林床にも落ち葉が積もって空き地がずいぶん減りました。アリジゴクも住宅難になってきたようです(下の写真)。この巣の主はクロコウスバカゲロウの幼虫でした。
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クロコウスバカゲロウ幼虫の巣 |
湿地のまわりを囲むイネ科植物の草地には、たくさんのハマベアワフキがいました。どうしても背中を見せてくれません。
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ハマベアワフキ。近づくと向こう側に回り込んでしまう |
ヨシ原も草原も厚みと密度を増し、もう分け入るのも簡単ではありませんが、そこにはたくさんの生き物が抱かれています。環境が変化していく過程で、さらに多くの生き物を育てます。改変が進む沿岸部で孤島のように残ったモニタリングサイトを、生き物の聖域として、どうにか残したいものです。