2013年2月11日月曜日

おめでとう! 平吹喜彦さんが日本自然保護協会沼田眞賞受賞


 南蒲生モニタリングネットワークの世話人会代表の平吹喜彦さんが、公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)の沼田眞賞を受賞されました。去る201323日に、東京の
清澄庭園大正記念館で授賞式と記念講演が行なわれました。
受賞記念講演(2013年2月3日)
授賞式会場となった大正記念館(2013年2月3日)

 自然保護や生態学に関わった方であれば、「沼田眞」の名前を知らない人はいないでしょう。平吹さんも受賞講演のときには「神様みたいな方」と表していらっしゃいました。沼田眞氏は、生態学が専門で、長く千葉大学の教授を務められ、日本生態学会長、日本植物学会長、日本環境教育学会長、そして日本自然保護協会長などを歴任されました。特に、198090年代のNACS-Jは、当時の沼田眞会長のもとで、白神山地のブナ林、石垣島の白保サンゴ礁、長野五輪のスキー滑降競技会場といった数々の保護問題に取り組み、IUCNのレッドデータブックやUNESCO世界遺産条約などを日本に紹介して、日本の自然保護を国際的な水準に持ち上げました。研究者と自然保護活動家の2つのスタンスを忘れず、生態学者として客観的な論理と、NGO会長として誰に対しても自然を守ることの大切さを真っ直ぐに訴えていました。2001年、NACS-J創立50周年の記念に、研究と保護活動を両立させている人物・グループを応援したいと始まったのが、「沼田眞賞」です(NACS-JWebページより)。

 2001年からこれまでに910団体が受賞していますが、平成24年度は5件の受賞がありました。今年度の沼田眞賞は、通常の活動に対する表彰とともに、東日本大震災関連の特別枠が設けられ、平吹喜彦さんはその特別枠での受賞(1名)となりました。受賞理由は、次のとおりです。
 20113月の東日本大震災の後、いち早く、仙台市宮城野区南蒲生(新浜地区)の砂浜海岸域で生態系モニタリングを開始し、自然修復を尊重した多様性・多機能海岸エコトーンの創出、ふるさとの自然と人(社会)の豊かさが持続しうる復興に向けた提案をしている。海岸部の被災地で復旧という名の下に大規模な防潮堤工事が進んでいるが、再生しつつある野生動植物に配慮した復興や工事を訴える平吹氏の主張は生物多様性や生態系に配慮した復興を進めるために重要である。

 現在、仙台平野の海岸エコトーンで繰り広げられている大規模な震災復興事業に関して、地元の研究者をまとめて、沼田眞賞の趣旨である研究と保護活動を両立し、調査研究結果に裏付けられた自然環境・生物多様性の保全を行政など関係機関に訴えている活動が認められたものと思われます。震災直後から一緒にモニタリングネットワークとして活動してきた私たちとしても、とても嬉しく思います。復興事業と自然環境の保全との軋轢は、ここにきて非常に大きくなりつつあります。この受賞をバネにして、平吹さん、そしてネットワークの活動が大きな弾みになることを祈りたいと思います。平吹さん、受賞おめでとうございます。
清澄庭園のフクジュソウ(2013年2月3日)
清澄庭園の冬ボタン(2013年2月3日)

なお、当日の授賞式後の記念講演は、インターネットで公開されており、ustreamでご覧になることができます。

K.H.