2012年9月15日土曜日

ELR2012で、大津波被災海岸域の復興のあり方を再確認


2012年9月8~10日、日本緑化工学会・日本景観生態学会・応用生態工学会の合同大会(ELR2012)が東京農業大学世田谷キャンパスで開催され、参加・発表してきました。
ELR2012ポスターへのリンク(pdf)

 これら3学会はいずれも、「健全な生態系の持続・修復を視野に入れた国土のプランニング」を、学界・行政・市民の連携のもとで推進することをめざしており、今大会のメインテーマは東日本大震災に焦点をあてた「災害と自然再生」でした。口頭・ポスターによる多数の研究発表とともに、9日午後にはおよそ4時間にわたる公開シンポジウム「災害と自然再生」が、そして10日午前には「共同による震災後の生態系変化の把握 -調査データの集積と共有を可能にするプラットフォームづくりをめざして-」と題する研究集会が開催されました。
研究集会での発表の様子(2012年9月10日)


 私たち南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワークのメンバーも、一般講演や研究集会で調査成果や復興事業にかかわる課題について発表し、全国から参集した専門家・NPOの皆さんと情報・意見交換を行うことができました。
 
 なかでも公開シンポジウムとその後の懇親会で、林野庁「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」や、国土交通省「河川・海岸構造物の復旧における景観検討会」に関わった方々から、お考えをお聞きすることができたことは有意義でした。そして、共通する見解は、「昨年度、検討会がとりまとめた内容は、理念と指針、断面形の復興モデルである。それを被災地で具現化する、すなわち設計図として平面に落とし込む際には、住民の方々の意向や地域の自然環境に配慮した丁寧な議論・手続きが不可欠である。」というものでした。

 仙台湾岸で活動している私たちは、(1)自然環境要素の変化をきちんとモニタリングして、すばやく公開するとともに、(2)事業を担当する行政機関、被災地の住民の方々、そして日本中の専門家とますます強い連携を構築しながら、未来世代の評価に堪えうる「ふるさとの海岸エコトーン・海岸地域」の復興を支援したいと、決意を新たにしているところです。

Y.H.

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